八つ墓村

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 横溝正史先生の傑作小説「八つ墓村」。
 これまで何度か映像化されている訳だが、今回観たのは、1977年公開の松竹製作版(野村芳太郎監督作品)。
 何度もテレビで放映されているし、最もメジャーなものだと思う。

 何か昔の特撮映画でも観るかな~とよく行く店に足を運んで廉価版DVDを物色してたら、これに行き着いた。
 ほほ~、子供のときテレビで放映してたっけか…と取り出して見てみると、驚いた事に上映時間約2時間半!普通の映画の倍あるじゃん。テレビで放映されたときも、相当カットされてるんだろうな~とは思っていたけど、まさかここまでとは…。恥ずかしながら名作だと吹聴してる割には、カットされてない本チャンの原典にあたる事をしてないことに今更気付いた。
 (ついでに言うと、原作の小説も読んでない。これもあまりにメジャーになりすぎた作品の悲しさか、今更読むのも恥ずかしい感があって中々手が出なかったのである。専らSFばっかり読んでたし)

 ま~そんな訳でDVDを購入し、ビール片手に嫁と観た。
 いや~、すばらしい。まごうことなき名作であったわ。

 DVDのジャケットにもある、桜の花びらが散る中、日本刀と猟銃を持ち鬼のような形相でこちらに走ってくるビジュアルは美しさと狂気が混ざりあって何とも言えぬインパクトに満ち満ちておる。「八つ墓村」で思い出すものと言えばまずこれである。
 ウルトラゾーンの「名探偵M1号(前後編)」でもパロディにされてたな。ちゃんと桜の花びらも散らせてたし。走ってたのはケムール人だけどwwwww

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 作品の背景やあらすじなんかはWikipediaをはじめ、色々なところにあるので詳しくはネットを漁っていただきたいが、ごく簡単にご紹介。

 スタッフとして、監督:野村芳太郎、脚本:橋本忍、撮影:川又昂、音楽:芥川也寸志といった一流どころを配し、巨額の制作費を投じて製作され、大ヒットを記録した作品である。

 キャストも豪華で、寺田辰弥:ショーケン、森 美也子:小川真由美、金田一耕助:渥美清、多治見要蔵:山崎努(二役)、その他にも豪華な俳優を大勢使っている。
 浜田寅彦さんも出てたな。出番は少ないけど。いい味出してたわ~。特撮ファンなら加根田金男の父親役、と言えばピンとくるじゃろう。つまりウルトラシリーズとも因縁があるということじゃな(強引すぎるかwww)。

 まだ観たことの無い人のために、ひとつだけ。

 この作品はミステリーじゃありません!
 
 金田一耕助が出てくるからミステリー映画だろう、などと思って観てはいけません。これは数百年にわたる怨念を描いたスリラー映画なのです。
 そこさえ押さえておけばしっかり楽しめることでしょう。諸君の健闘を祈ります。

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 名探偵・金田一耕助と言えば書生風のいでたちの石坂浩二さんのイメージだが、今作では渥美さんである。東宝と差別化を図ったか。
 その恰好はヨレヨレのワイシャツ・ズボンに麦藁帽子。どこの田舎のおっさんだ。
 初めてテレビで観た時、自らを金田一だと自己紹介した瞬間にずっこけた。でもこれはこれで一つの味かな、とも思った。それに、この作品においては金田一はあくまで脇役である。主人公はショーケン演じるところの寺田辰弥だ。
 だからちょっと冴えない感じでちょうどいい、まさに計算されたキャスティングと言える。
 
 芥川先生の音楽は、初めて観た時強烈な印象を受けた。オープニングで落ち武者たちが山の頂に立ち、山村を見下ろす。そして「八つ墓村」のタイトルとともに、オープニングテーマが流れる。美しいメロディーと壮大なアレンジに魅せられたのである。
 今回もまた、その印象は変わらず。やっぱり一流の音楽家が作る音楽は時を経ても色あせないね。しかしその美しい音楽とは対照的に、繰り広げられる陰惨な事件と閉塞的な田舎の空気…いや、美しい音楽だからこそそれらが際立つのかもしれない。

 残酷描写がまたすごくて、それがこの作品を長く印象にとどめる原因の一つになっている気がする。
 まず落ち武者たちが村人によって殺害されるシーン、それに要蔵の32人殺しのシーン。まさに容赦無し。特殊メイクと冷徹なカメラワークがショッキングなシーンを彩る。

 32人殺しのシーンの要蔵、それに鍾乳洞で辰弥を追いかける美也子は、鬼のような形相である。つーか本当に般若みたいなメークをしとる。ある意味判りやすいw
 脚本に、「鬼のような形相で追いかける…」とか書いてあったのかもしれない。それを忠実にイメージ通りにスタッフが真面目に再現したのかな。

 最後はまさに「祟り」で全てを収斂させる力技。でもこれだけ大掛かりで壮大な歴史ロマンを一人や二人の計略にするのはもったいない。だからこれはこれで良し。
 燃える多治見家を見下ろし高笑いする落ち武者たち。ぶっちゃけこの映画、冷静に考えてみると「ん?」となるくだりがいくつかあるし、最終的に怨念と祟りのせいでしたなんてなオチだと、「えー!?」となるのが普通なのだが、このシーンで全て解決である。説得力ありすぎと言うか細かいことはどうでもよくなるというか、そんなクライマックスであった。

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 1977年の公開時大ヒットを記録したが、興行収入は3位であったそうな。調べてみると1位は「八甲田山」だった。この年は「宇宙戦艦ヤマト」や「幸福の黄色いハンカチ」、洋画では「スターウォーズ」なんかが公開されてて、まさに映画全盛期という時代だったのだな。景気も良かったろうしね。

 何だかんだ言って、今作に限らず洋画(つーかハリウッド映画)には無い、独特の感性をした邦画は結構いっぱいある。そういうのを埋もれさせるのはもったいない。
 これからは特撮だけじゃなく、そういったものも漁ってみようかと考えるきっかけになった。
 ということで次は何を観ようか、仕事帰りにちょくちょくDVDを漁っている。

 でも今月はもう無理だな。もうすぐウルトラマンサーガのメモリアルボックスが出るからね。こちらも楽しみじゃ。
 9月21日(金)ですよ! 皆さんお忘れなく!

 したっけ~ ヽ(´ー`)ノ

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