ものくろーむ・いんびてーしょん

 モノクローム、略してモノクロ。黒白写真というやつです。
 ダゲールさんが写真を発明した19世紀(今年で180周年!)ならともかく、21世紀になってもまだモノクロ写真があるというのは信じられないという人も多いでしょう。私もそうでした。
 それ以前に、未だにフィルムで写真を撮ってんのかい?!と驚く人の方が多いですが。

 まあ確かに現在はデジタル写真が主流ですし、カメラが無くても電話(スマホ)で写真を撮れる時代です。大きくて重たい機械式のフィルムカメラを持って歩くのは、それなりに覚悟を決めた趣味人がほとんどでしょう。
 当然基本はカラー写真な訳です。折角世界は素敵な色で溢れているのにわざわざその "色" を捨てるなんて正気の沙汰じゃない、と思う人もまた多いのではないかと思います。私もそうでした。

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Konica Autorex P, KONICA HEXANON AR 50mm F1.4, 富士フイルム NEOPAN 100 ACROS

 フィルムで写真を撮るというのは自分の中では武道に通じるものがあります。武道と言っても学生時代に齧った空手しか知りませんが。心身を研ぎ澄まして一瞬で勝負をつける!、そんな感じです。実際昼間ならシャッターが開くのは(大体において)一瞬です。
 一瞬にして突きや蹴りが相手を射抜く(実際は寸止めですけど)のと同様、一瞬にしてその場の光をフィルムに閉じ込める…
 違うのは反撃されない事でしょうか。空手(組手)なら、油断すれば逆に相手の攻撃を受けてしまいます。建前上寸止めでも、実際の組手ではガンガン殴られます。なのでダメージは大きいです。正直キツイです。

 いや、カメラにも反撃に似たものはありました! 油断すると手ブレやピンボケ写真が出来上がります。うっかりすると露出も間違える場合があります。こちらは身体的なダメージはありませんが、精神的・金銭的なダメージを受けます。これはこれでキツイです。

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Konica SIII, 富士フイルム NEOPAN 100 ACROS

 ……話が逸れました。
 フィルム写真を始めた(正確には再開した)当初はカラーフィルムばかり使ってました。近所で手に入るフィルムがカラーしかなかった、というのもありますし、モノクロ写真を撮る自分のイメージが湧かなかったのです。

 色覚は至って正常なので、目の前に見えているものは当然の事ながら全てカラーです。それがモノクロになるというのはどうしてもイメージができなかったのです。
 ただ、どうせフィルムを体験するならどんなものでも食わず嫌いせずに体験しよう!という思いから、ためしにモノクロフィルムを買ってみたのです。比較的近所にあたらしくショッピングモールが出来て、そこにカメラのキタムラさんが入店したのがきっかけでした。冷やかしに行ってみたら富士フイルムの "ネオパン100 アクロス" が鎮座ましましていたのです。正直モノクロフィルムをこの目で見るのすら生まれて初めてでした。そこにあった何種類かのフィルムを手に取ってレジまで持って行きましたが、その中にアクロスも入っていたという訳です。

 ちょうどその頃家族で出掛ける機会がありましたので、カメラを2台持っていって、ものは試しと一台にアクロスを詰めました。一応、目の前の景色が白黒になるとどうなのかをイメージしながら撮ろうとは思いましたが正直さっぱりでした。
 それでも、現像が上がったのを見てみると、これがなかなか良い雰囲気で驚いてしまいました。カメラ(Konica SIII)も良かったでしょうし、アクロスも良かったのでしょう。もちろん失敗もありましたが、良い感じの写真の比率が高かったのです。ビギナーズラックというやつでしょうか。嬉しくてツイッターやCameraTalkに上げまくってしまいました。

 ……で、勘違いして調子に乗り、モノクロに嵌まってしまったという訳です。
 と言いつつも実のところ今はまだカラーフィルムの方が使用量は多いのですが。

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Konica Autorex P, KONICA HEXANON AR 50mm F1.4, 富士フイルム NEOPAN 100 ACROS


 モノクロの良い点は、実は色が無い事そのものにあると思ってます。
 引き算の美学というか、色が無くなることによってゴッソリ情報量が減るのですが、それによって観る側に解釈を委ねられる割合が増える訳です。短歌や俳句みたいなものです。

 自分で撮ってみて初めてそういうのが分かりました。
 撮った側からすると、そこにあったものは色なり形なり明るさなり全部把握している訳です。ところが出来上がった写真はそういった情報が欠落している…。もちろん記憶で補完される部分もあるのですが、光や影、形などを新たに(もしくは再び)発見する感覚から、逆にモノクロ写真の面白さが見えてきた訳です。
 これは嬉しい誤算でした。やっぱり食わず嫌いせずに何でもトライしてみるものですね。

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