「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」は素敵だよ。作品の中は夢一杯 (´ー`)

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 この「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」、子供の頃から存在自体は知っていたのだがイマイチ食指が動かなかった。やはり子供のうちは「かっこよく」、かつ「怖い」怪獣を求めるものなのだ。ダイゴロウもゴリアスも、こういってはなんだがちょっとマヌケな顔をしていて怖さは感じられない。ダイゴロウは樽みたいな体型してるし(;^ω^)
 かくしてこの作品のことは記憶の底に沈んだまま幾星霜。

 最近になって、図書館で「円谷一―ウルトラQと“テレビ映画”の時代 」なる本を読んだ。
 そこにこの作品のことが(少し)掲載されていて、記憶が蘇り、無性に観たくなった。

 ということでいつものビデオ屋さんで探してみたが影も形も無い。それもそのはず、この作品のビデオソフト(DVD)が最後に再リリースされたのは2005年!
 ゴジラやウルトラと比べれば格段にマイナーな作品であるし、そりゃ置いてないわな。

 しょうがないのでネットを漁ったら、ネット通販でならボチボチ入手出来る事が分かった。
 今回は伊國屋書店ウェブストアさんを利用した。リアル店舗での購入がかなわぬのならば、少なくとも日本に税金を払ってる会社を利用したい。あ、でも楽天サマは除外だからwwwサーセンwwwwww

 この先ネタバレあります。ご注意ください。

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ものがたり
 原子力潜水艦のばく発事故で海底にうまってねむりつづけていた怪獣が目をさまし、東京湾にあらわれた。たちまちのうちに自えい隊によって殺されてしまったが、あとにその怪獣の赤んぼうがのこった。
ダイゴロウと名づけられたこの怪獣は、国で育てることになったが、一食百万円、年間で12億円もかかるたいへんなおお食い怪獣で困ってしまいました。なにしろ身長は35メートル、体重が8千トンもあるわけですから。そこで、お役人は成長がとまるくすりを注射することにした。
 こどもたちはダイゴロウに同情して大反対です。発明おじさんの賞金かせぎに大声えんをおくったり、また、手に手にプラカードを持って、街でカンパを集めるのにいっしょうけんめい。そんなこどもたちにかんげきして好きなお酒もやめて、ダイゴロウのえさ代をためる熊五郎と八五郎。
 その頃、大気おせんの影響でいん石が変身したきょう悪な大星獣ゴリアス─身長45メートル、体重3万トン。ぶきは角からだす電撃光線─が日本をおそい、あばれはじめた。
 ゴリアスをやっつけるにはダイゴロウのたすけをかりるほかない。ダイゴロウははじめておなかいっぱいのごはんを食べさせられ大ハッスル!
 まえいにダイゴロウの母が口から超高温熱線をはいてあばれまわったのを発明おじさんはおもいだし、ダイゴロウに特くんをはじめたのだ。
 さて、ダイゴロウは、こどもたちや発明おじさん、熊さん、八さんの期待にこたえてゴリアスをたおせるか!?

かいせつ
 日本のディズニー・プロといわれ、テレビ”ウルトラマン”シリーズで、人気を博している円谷プロダクションが、創立10周年記念として東宝と提携して初めて製作する劇場用怪獣映画です。《カラー作品スタンダード・サイズ》
 この映画は、特殊撮影の神様といわれた世界の円谷英二の遺志をくんで、子供たちに伸び伸びとした夢をあたえようという現代の童話です。物語は発明家の痛快ドリーム・オジサンと子供たちが、落語に出てくるような愉快な熊五郎、八五郎の力を借りて、大怪獣ダイゴロウを応援し、凶悪星獣ゴリアスを向うにまわして展開する夢と涙と笑いでつづる大奮戦です。
 ※当時のパンフレットに掲載されていたあらすじと解説を引用

 実を言うとこのあらすじ、ちょっと間違いがあったりするんだけど、結構色々エピソードが盛り込まれた作品でどう取捨選択してあらすじとしてまとめるか非常に迷ったので、いっそのことまるっと引用させていただいたって訳。どこが違っているかは作品を実際に見て確認してくださ~い♪

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 いや~、良かったわ。本当に。
 まず、話に夢がある。そして子供が大活躍。コメディタッチで飯島監督イズムがそこここに発揮されている。最後にゴリアスを宇宙に返してあげるのもいい。

 怪獣が大暴れするのでウルトラシリーズ的要素もあるが、反面ほのぼのとした登場人物たちとダイゴロウの触れ合いもある。また、熊さん八さんとうめ子の下町人情喜劇な要素もあるし、短いながらダイゴロウ飼育員の斉藤の葛藤や環境衛生省の役人鈴木との人間ドラマもあるしで盛り沢山。
 ダイゴロウの住む島、東京での発明おじさんを巡るエピソード、熊五郎まわりのエピソードと大きく三つに分かれた構成が後半でうま~く一つにまとまる。話の軸が大きく三つあるので、下手をするとがちゃがちゃした感じになるのだけれどもさすがベテランの飯島監督、うまいことまとめている。

 音楽もよかった。音楽担当は冬木透先生で、主題歌は(当時円谷プロの社員だった)子門真人さん。
 挿入歌の「ぼくのおじさん」は名曲。聞くたびにちょっとウルっと来る。子門さんと言えば「ファイヤーマン」とかの熱い歌もいいけど、こういうやさしい歌でも魅力を発揮するよね。いい声だなあ。
 余談になるが、子門さんとか尾崎紀世彦さんみたいな声の歌い手さんは最近めっきり表に出てこなくてちょっと寂しい今日この頃なんである。

 随所に細かくジャブのようにギャグが入ってる。宙吊りになった発明おじさんが「ウルトラマン」とかやったり。
 役人の鈴木(小林昭二さん)がダイゴロウの特訓を見て「変身!ってのでも教えればいいんだ」とあのフリつきwで言ったりする。これはニヤリとしてしまう。この当時はムラマツキャップとしてではなく、おやっさんとしての認知度の方が高かっただろうからだ。アドリブだろうか、それとも飯島監督がフリをつけたのであろうか。オーディオコメンタリーでは一言もなく…残念。

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 特撮は、まず何といっても中野稔氏の手による光学合成。職人技の極みだね。もちろん今時のデジタル合成みたいな訳にはいかないが、アナログでここまでやるのは本当にすごい。
 印象的だったのは(熊五郎の夢の中で)冷酒の看板の水着のねーちゃんが動き出して、グラスをぐいっと差し出すシーン。まるで3D映画のような立体感のある仕上がりで驚く。このイメージをモノにするのには相当苦労したと察せられる。ちなみに、冷酒の看板は「冷用酒 漣 飯塚酒造株式会社」とある。視覚効果の飯塚定雄氏から名前をとったか?さらにその隣には「中野光学」の看板がwwww
 ゴリアスとの最初の対戦で破れ、海上に横たわるダイゴロウと、砂浜を走ってかけよる斉藤のシーン。これまたものすごく自然で目立たないのが逆にすごい。
 その他にも発明おじさんが想像の中で赤い靴を履いて素早く動いたり歩き回ったり、山の向こうから顔を出すダイゴロウとか見どころは沢山。

 ダイゴロウの母、ゴリアスが暴れるシーンのミニチュア特撮もなかなかのもの。自衛隊の大型ミサイルがゴロゴロと出てくるところは何となくジェリーアンダーソン作品を連想した。島でダイゴロウとゴリアスが対戦するシーンも、遠近感をうま~く生かしたセット作りで、前景に民家や花畑なんかを配してその向こうにダイゴロウとゴリアスが対峙してるようなシーンでは(多分)実際のセットよりもずっと広く見せていてうまい。
 オープニングタイトルのあと、ふらふら~っと発明おじさんのエアロバイクが飛んだと思ったら空中爆発するシーンは、いかにも円谷特撮!って感じがしてすごく好きだったりする。

 本編と特撮の連携もすごくとれていてこれまた見事。特撮班の人たちも本編の撮影に立ち会って色々注文したりしてたみたい。スケジュール的にギチギチ(本編と特撮が絡みづらい)なテレビシリーズとは違って本編と特撮がうまく馴染んでいい感じ。
 例えば、ダイゴロウが足を踏み出した(特撮)と思ったら実物大の足(本編)に切り替わったり、砂浜で寝ているダイゴロウを前景に、その向こうを斉藤と鈴木が歩くシーンとか。
 夕焼けの中、子供たちと島の医者が歩くシーンをよく見ると左側が花畑、右側が墓地である。で、ダイゴロウとゴリアスの最後の対決のシーンでも同様に花畑と墓地を前景にその向こうで戦う二匹のシーンがあったりする。

 怪獣のデザインは池谷仙克氏、着ぐるみ造型は高山良策氏。池谷氏によれば、高山氏の着ぐるみは軽くて動きやすいんだけど、その分壊れやすいのでメンテナンスが大変だったとか。(映像特典のインタビューより)
 確かに、明らかにゴリアスの腕が折れてる(!)シーンがある。スケジュールの都合で撮り直せなかったものと思われる。

 見てて、あれ?と思ったのは、ダイゴロウやダイゴロウの母が口から吐く火炎は、ウルトラシリーズではお馴染みの火炎放射器じゃなく、すべて合成であること。
 本当はテレビシリーズでも全部合成でやりたかったんじゃないかと推察する。本当に火を吹かせるのは危険だし、着ぐるみも痛む。それでもスケジュールや予算を考えると実際に火を吹かせるしか無かったんではないか。合成で火を吹かせるためには火の素材も別撮りしなきゃならないし合成も大変だ。実際作品中でも合成が微妙な部分があった。

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 今回買ったDVDは特典として、飯島監督・主演の犬塚弘さん・撮影の稲垣湧三氏(司会: 桜井浩子さん)のオーディオコメンタリーと、劇場予告編映像、中野稔氏と池谷仙克氏のインタビュー、資料画像(パンフレット、ロビーカードなど)ギャラリーつきであった。
 オーディオコメンタリーも、予告編も、インタビューも、資料もそれぞれ色々発見や気づきがあっておもしろかった。 ただ、オーディオコメンタリーに関してはかなり急に召集されたものと思われる。もうちょっと司会の桜井さんが予習してきてくれればもっと話を引き出せたんじゃないかなあ、という感じ。面白かったけど。

 引用した「ものがたり」と「かいせつ」は資料ギャラリーを一生懸命見て書き写したwwww涙ぐましいwwwなにしろDVDの画質なんでつぶれちゃって見づらいことこの上ない。やっぱりブルーレイをメインに据えるべきなんであろうか(そういう理由で!?)

 あと、予告編はよく見ると非採用カットがまじってたりするし、音楽は冨田勲さんだったりする(何かの流用かな)。
(追記)流用じゃないかも。付記もご参照ください。

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 今はこういう特撮作品は作れないのかなあ。まあキャラクター優先で、マネタイズしないとやってけない部分もあるのは分かるけど。もうちょっと円谷プロの経営基盤が安定していてくれれば単発でファンタスティックな特撮作品を作る事も出来たかもしれないけどね。実写版スタジオジブリみたいなプロダクションになってくれれば面白かったのになあ、と「たられば」を言うのが精一杯。

 しかしこの作品自体は、(何度も書くけど)本当良い作品でした。ツボに嵌ったと言ってもいい。何回でも観れるわw こういう作品はそう多くない。
 もちろん、今の目で見れば粗は探そうと思えばなんぼでも見つかるけど、作品はトータルで語らねば。何から何まで完璧とは言わないが、良い作品であることは間違いないっ!ぜひご覧いただきたいっ!(無駄に熱い)

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・付記(2013/7/31)
 冒頭に書いた、「円谷一~」を読み返したら、ダイゴロウ対ゴリアスについて飯島監督に取材した記事があったので、興味深かったところをいくつか引用します。

 ただ僕は、円谷プロ10周年だから大々的に、当然シネマスコープだと思っていたんだけど、その辺は合成の中野(稔)とか撮影の稲垣(涌三)に、「シネマスコープの合成なんか見られたもんじゃない」とか言われてスタンダードサイズになった。それはちょっと寂しかったけど、劇場では(同時上映の)ゴジラには勝ったと思った。バタバタやってた子どもがシーンとなって観てくれたからね。

 はたして最初からツブちゃんが3本立ての1本でって考えてたのかなぁ? けっこう尺数があるからね。ただ当時、集客となるというとゴジラですからね。『ダイゴロウ~』はかなり贅沢してるんだけど、あまり残らない作品になってしまって残念だよね。

音楽だって最初は富田勣さんでいこうと思っていたんです。富田さんは慶応の先輩で、僕の時代劇の音楽はずっとやってくれていましたから。ツブちゃんも「いいよ」と言ってくれてね。音楽打ち合わせまで富田さんが来てたから。ところが途中でアメリカのどこかのレコード会社(※)と契約してしまって、富田さんのギャラはアメリカ扱いになっちゃった。プロデューサー円谷一としては、富田さん本人がどう言おうと取り付く島がなくなってしまったわけです。それは聞かされてなかったから、打ち合わせの段階になって、富田さんが「ゴメンナサイ」と言って、ホンを置いて行っちゃった。冬木(透)さんは、ツブちゃんとの関係だったからよかったけど、呼ばれたのオールラッシュの後だからね。冬木さんはそんな中で素晴らしい音楽書いてくれて、とても感謝してるんです。
※RCAのこと

主題歌を歌った子門真人だって円谷の社員だったでしょう。ツブちゃんの押し込み方ってね、「上手いのがいるのよウチにひとり!」って(笑)。「え、社員が歌うの?」そしたらツブちゃんが、「いや、上手いのよ~」って(笑)。

 ただあれは東宝封切りだけど東宝映画じゃないんですよね。そのせいか東宝にずいぶんいじめられてね。だいぶ頼んだんだけど、結局ステージも使わせてもらえなくて、映画館で完成招待試写会もなかった。
「円谷一―ウルトラQと“テレビ映画”の時代」  P.293「映画『ダイゴロウ対ゴリアス』の思い出」より

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